2019年版GBPJPYの日足分析
驚異の組み合わせ
ただでさえ値幅が大きいことで知られるイギリスポンドに、リスクオフでは強烈に買われる日本円を組み合わせたポンド円は、まさに「殺人通貨」の面目躍如だといえます。
ただ、2019年はポンド円=売りというスタンスだけでは利益を上げることは難しかったのではないでしょうか。
むしろ、素直にポンド円もほかの通貨ペアと同じく、トレンドフォローが功を奏したといえます。
ポンド円の日足のライン
ポンド円にトレンドラインや水平線、チャネルラインを引いてみました。
引き方は、いたってオーソドックスなものです。

こうしてみると、ポンド円といえどもフラッシュクラッシュの安値や急に見えるトレンドラインであっても、きちんと機能していることがわかります。
ただ、ドル円と違ってラインに接近したら跳ね返るのではなく、そのまま突っ切ることもあるところが、特徴としては言えます。
フラッシュクラッシュとV字回復相場
年始にはドル円とポンドドルは一瞬で大暴落しました。
つまり、二つの合成であるポンド円はさらに大暴落したということになります。
この大暴落でロスカットをくらったり、それ以上の事態になったりしたということは多いと思われますが、本当の地獄はそのあとのV字回復相場だったかもしれません。
普通、下落トレンドから上昇トレンドに転換する場合は、ドル円のようなマイルドな通貨は特に「上昇トレンド→レンジ相場→下落トレンド」のように、徐々に変化していくと想像しがちですが、ポンドの場合には急落の直後に急騰して戻り売りをしたトレーダーは大打撃を受けたと思われます。
実際フラッシュクラッシュ時の安値は、筆者のMT4上では131円台ですが、それから上昇してつけた年初来高値は148円台なのですから、なんと17円(1,700pips)以上も上昇したことになります。
ですから、年前半の相場で生き残るにはフラッシュクラッシュでのダメージを最小限にとどめ、さらにその後の急なトレンド転換も察知してロングで買いあがっていくという、臨機応変さが必要になったといえます。
秋以降の急騰の波に乗れたかどうか
さんざんブレグジットがらみで、悲観論にあふれていたポンドですが、大体相場は大衆の考えている方向にポジションが偏り、ちょっとのことで相場は反転します。
今年後半のポンド円が良い例です。

典型的なダブルボトム形成からの上昇トレンドへの転換となっています。
もちろん、ファンダメンタルを考えれば「おかしい!」と思うトレーダーもいるでしょうが、しかしそう思いたくなる状況であればあるほど、トレンドが継続しやすいというのも事実なのです。
また、今回の件に限って言えばイギリスや世界的な貿易摩擦の緊張感が、空振りに終わったということもあります。
今年の序盤や前半は「さぁやるぞ」とばかりに、リスクオフ方向にポジションを傾けてきたのだけれども、続落する材料を失ってしまったので、ポジションを手仕舞ったり、売りすぎたポジションを損切りしたりしているのです。
ですから、ポンド円のトレンドが反転して直近高値を上抜いた場合には、「今がチャンス」と思ってトレンドに飛び乗らなくてはなりません。
※逆にトレンドが転換するまでは売りに徹します。最安値で買おうとするよりも、トレンドが転換したときのほうが、実はよい値段で買えたりすることが多いです。
ポンドが急騰する時間帯
為替市場の三大マーケットは、東京と欧州とニューヨークとなっています。
しかし、今年に関していえば東京時間は狭いレンジであり、欧州時間はそのレンジを拡大したもので、本格的な一方通行相場はニューヨーク時間ではなかったかと思っています。
とりわけ、午後10時から11時にかけてはロンドンフィックスに向けて出来高がどんどん高まっていくため、ニューヨーク勢の参入とともにボラティリティがどんどん高まっていった日が多かったです。
こういう時は、日足をいかに頭に入れているかということが明暗を分けました。
日中のトレンドフォローも大事ですが、ニューヨーク時間の場合にはもっと長いタイムスパンで取引するプレイヤーも多いからです。
仮に何週間、何か月も前の高値であっても、市場参加者はしっかりとみています。
もしブレイクした場合には、レンジ逆張りではなくて、ブレイク方向にポジションをとる必要があります。
慣れればなんということはありませんが、ポンド円という通貨はトレーダーの資質を試しているといえます。
ポンド円の週足トレンド分析
週足のトレンドですが、基本的には下落チャネルの中にいましたが、最近とうとう上抜けてしまいました。

しかも、一目均衡表の雲(抵抗帯)に対しても、ちょうど薄くなっている部分を上にぬけかけています。
このポンド円の下落チャネルは、去年の2018年からずっと続いているものです。
つまり、長い下落トレンドがようやく終わろうとしているのかもしれません。
確かに、ファンダメンタル的にもブレグジットネタはさすがに長引きすぎです。
そろそろ、マーケットも売りつかれているのではないでしょうか。…